Time goes by・・・


俺の名は新堂誠。3年D組だ。今日までだけどよ。
卒業ってものを迎えちまったから、この学校ともおさらばだ。

泣いてるヤツもいれば、写真を撮ってるヤツもいる。
俺はと言うと、クラスの連中に適当に話をした後は屋上にいた。
制服も今日までだから寝転んでいる。

新堂「なんか実感わかねえな。3年なんてこんなもんか?」

あいつが生きてれば・・・これから遊びにでも行くのによぉ。

俺には事故で死んじまったダチがいる。今は【ダチは死んだ】と割り切れ
るが、かなりの時間が掛かったもんさ。
この学校にいて3年間を無事に過ごせたのは幸運だ。
楽しい事もそれなりにあった。
けどよ、この・・・空しいっていうか、心のわだかまりは何だ。

新堂「俺一人で卒業か」

キイィィィィ・・・・・・

屋上のドアが開く音がしやがった。誰か来たのかよ?
俺は上半身を起こして振り返った。

「新堂君、元気なくない?卒業だよ今日は」

新堂「まつげ・・・か。こんなとこに来てどうした」

「んー・・・最後だからね。いろんな場所を見ていこうかなって」

まつげは俺の顔を見ながら歩いてくると、隣に座った。相変わらずまつげ
長いよなこいつ。
そういや、ダチが生きてたら、あいつは今ごろ・・・

新堂「まつげ。お前、学校生活はどうだった?」

まつげは笑ってた。【急にどうしたの】って言ってるようだった。

「そう・・・ね。つらい時期もあったけど、私は生きてることができるから。
 いい学校生活だったよ。・・・今はそう言える」

新堂「そうか。そんならいい」

俺はまた寝転んだ。

「でも・・・」

新堂「?」

「映画・・・一緒に観たかったな・・・・・・」

まつげは空を見て呟いた。

俺も見上げた。過ぎ去った3年間とダチの想い出を懐かしむように。


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