惑 乱
はっきり言って俺は、恋という感情に関しては不器用にも程がある。 多分、あきれ返るヤツもいるだろうな。 誰だって怖くなることあるだろ? 特に初恋ってやつほど厄介なものはない。 それも男相手だ。 最初はちょっといいやつだなと思っただけだ。 人懐っこくて、それでいてかっこいい。 女なら惚れる奴もいるだろう。いや、いた。岩下と福沢だ。 だが、あいつらは神田の事を少しもわかっちゃいねぇ。 少なくとも岩下はそうだと思うな。 アイツは束縛を嫌う。だが、岩下は独占欲が強く、福沢も結構ナーバスだ。 そんな恋してたら神田の奴は疲れるだろうよ。 そんな神田がもっと疲れるような事故が相次いだ。 あの時ほど神様を恨んだ日は無いな。 新堂だ。新堂の奴、神田にセクハラまがいのことをしやがった。 あれがお遊びだって? 俺が神田の親なら間違いなく殺してるな。あいつは出る杭じゃない。 さらに、風間も嫌なことをした。岩下にちょっかいをかけるようになった。 そのおかげで余計岩下の束縛が強くなった。 だが岩下は気付いちゃいないだろうな。 そんなことをするたびに離れることをな。 嫌なものを見せ付けられたのは、確か梅雨に入るか入らないかの頃だった。 その頃の神田は、岩下と福沢の間でゆれていた。はっきり言って呆れたぜ。 苦手だと思っていた岩下にまだ惹かれているんだからな。立派な二股野郎だ。 まぁ、そのせいで新手の嫌がらせが出てきたけどな。細田ってデブだ。 いつもトイレにいることで一部では有名だ。 その細田、どうやら福沢に惚れているらしい。 あのデブは神田と福沢が一緒になった次の日、必ずといっていいほど陰湿な 悪戯をした。レベルは小学生のガキと変わんねぇけどな。 このときからだった。神田を意識するようになったのは。 アイツに関わった奴全員に嫉妬を覚えるようになった。 何度想像上で岩下や福沢にナイフを突き立てたり、ボコボコに殴ったことか! そして、もうひとつの想像はとても甘いものだった。 俺と神田がイチャついたり、キスしたり、燃え上がったりする。 最初は嘘だと思って何度も否定したさ。 けど、結局その気持ちは真実だった。 そのことに気付いたときは、ちょっとすがすがしかった。 そして、この気持ちを伝えたかった。 アイツの現状を考えればこっちに傾く可能性がある。 だが、それはありえないことだと冷たく言い放ったのだ、愛の神は。 フラれた。しかも露骨に嫌がる素振りで。 それ以来、アイツは俺を避けるようになった。 なぁ、男が男を好きになっちゃだめか?女にならなきゃダメか? けどよぉ、どうしようもないんだよ。男と女が恋するときもこんな感じだろ? 変わらないじゃん。ただ、性別が違うだけでこれかよ。 …こう考えると、少しずつだけど自己嫌悪に陥っちまう。 そんなイライラした日々に―――見てしまったのだ。 岩下と神田がキスしているところを。 帰ってから泣いた。ガキの頃以来だ、こんなに泣いたのは。 許せない。アイツは二人の女を受け入れ、俺を受け入れない。 多分、岩下もアイツの浮気に気付いて殺しにかかるだろう。 そんなことさせねぇよ。俺がアイツを思い通りにするんだ。 思い通りにしたいから守ってやる。どんな方法を用いたって。 恨まれたっていいさ。これが俺なりに影で支える愛だ。 歪んでるのはわかってる。 でも、これしかないんだ。 某月某日 神田という生徒が亡くなった。死因は…薬による毒殺。 だが、警察はそのことに気付いていない。 そのことに対してほくそえんでいた生徒は、今日、新聞部の企画を後輩に頼ん でいた。
あとがき どうも、お久しぶりです。ようやく新作が完成しました。短いですけど。 ええ、これは人気投票で日野様が1000票達成したのと、とある方への お祝いを兼ねて製作したSSです。 だからってなんつうモノを製作したんだ、僕は(苦笑)。 普通、こんなものをお祝いで送りませんね。 さて、今回はや○いテイストの作品を書いてみました。日野X神田です。 前々から書いてみたかったのですが個人的な理由により保留(をい)。 で、今回はちょっとしたきっかけがあるので作ることにしました。 ちなみにタイトルなんですけど、今回はどうしても日本語のタイトルに したかったんですよ。 で、さりげなく漢和辞典見て、気に入ったのが今回のタイトルというわけです。 本来の意味とは違いますけど、狂気じみた感じがしませんか? だって、意味が  1.(冷静な判断が出来なくなるほどに)心がまどい乱れる。まどい。乱れ。  2. まどわし乱す。 って意味なんですもの(笑)。しっくりきすぎ(^_^;) あ、日記みたいな感じにしたのはそういう設定だからです。 決して字数稼ぎってわけじゃないのよ(苦笑)。 こんなんでよろしかったら、感想ください。


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