葉子ネェのやつ・・・。何であいつには気合入ったラッピングで、俺には義理チョコなんだよ。
女ってこんなのかなぁ。母ちゃんからキレイな箱に入ったチョコ貰ったって嬉しくないっての。
オレはマザコンじゃないっての。
・・・けど、お返しぐらいはしないと失礼だよなぁ。葉子ネェ、どんなのが欲しいんだろう?
やっぱり年頃だから高いやつじゃないとダメなのかなぁ?
「良夫君・・・?」
ゲ、あの声は・・・!!
「何ボーっとしてるのよ。いくら春休みが近いからってボサッとしちゃダメよ」
やっぱり園部かよ。一応、あいつにもホワイトデーのお返しをしないとダメだよなぁ、トホホ。
女っていい身分だと思うよ・・・。
「園部にはキャンディーでいいだろ。けど、葉子ネェはそんなんじゃ喜ばねぇだろうなぁ。
 一応、オレより年上だから」
オレの小遣いじゃあ、いいもの買えないしなぁ。マジでどうしようかな。
「良夫!いい加減ご飯食べなさい!」
今、考え事してるっていうのに・・・。ま、いっか。飯でも食べてから考えようっと。

で、結局ちょっと高いキャンディーの詰め合わせと手紙を書くことにしたけど・・・何を書けばい
いんだろう。オレからのラブレターって文だと絶対捨てられる。それは嫌だ。
けど、いつも通りでも捨てられるだろうし・・・うーん困ったな。マンガに良い口説き文句書いて
るやつは無いかなぁ・・・・・・って、それで振り向くわけ無いか。ああ見えても、けっこう現実主義
っていうの?そんな感じだし。
はぁ、こんな悩める少年になったの久しぶりかも。
マジでどうしよう・・・。と、悩んでいるそのときだった。
「良夫。園部さんって子から電話よ」
何でアイツからなんだよ!

「もしもし?」
「あ、前田君」
「連絡網か?」
「ううん。ちょっと聞きたいことがあって」
聞きたいこと?なんだろう。あいつ、俺に頼るほど頭が悪いわけじゃないんだけどなぁ。
むしろ、コッチが勉強教えて欲しいくらいだよ。
「あのね・・・好きな人にプレゼントをするでしょ?何が一番喜ばれるかな?」
「・・・それ、オレが聞きたいくらい」
「嘘!?前田君ならわかると思ったのに」
オレが?さっきまでどうすればいいのか悩んでたんだぞ?
「う〜ん、じゃあさ、プレゼントをあげる人に喜んでもらいたいと思ってる?」
「何でそんな当たり前のこと聞くんだよ」
「お母さんが言ってたの。好きな人に聞けって」
オレ、アイツに好かれてるのか?出来ればお断りしたいんですけど・・・。
「けど、いきなり聞くのは失礼でしょ?だから参考に、前田君はどんなのが欲しいのか聞こうと
 思って・・・」
オレはアンケート結果かよ!何か腹立つぞ。だったらオレも。

「その前に一つ聞いていいか?」
「いいけど?」
「プレゼントにメッセージを添えるとするだろ。そのときに好きだってことを伝えるにはどうし
 たらいいと思う?」
「・・・前田君、それは私に聞かなくても良いんじゃない?」
「どうしてだよ」
「すでに好きだってことを伝えたいと決めたなら、素直にそう書けばいいじゃない」
そんなんでいいのか?嫌がらせって勘違いされないのか?
「たとえ伝わらなくても、心を込めてそう書けば少しはスッキリすると思うよ」
「単なる自己満じゃん。オレ、そういうのはヤだな」
オレは自己満じゃなくて他人を満足させたいの。
「・・・自分が満足しないと書けないよ?」
「そういうもん、なのか?」
「そうよ。だからダメモトでいいから書きなさいよ。じゃないと・・・」
「わーた、わーたって。がんばって書くよ。・・・で、どんなことを聞きたいんだ?」

その後、いろんなことを聞かれた気がする。それにいろんな話を挟んできやがる。だからあまり
女と電話したくないんだよ・・・。
それで時間を食ってしまった。ちょっと眠いけど、がんばって書かなきゃ間に合わないよな。
ダメモトでいいんなら書くぞ。アイツにわかって欲しいんだ。好きだって。



「良夫!あんたってばちょっとませてない?」
葉子ネェから電話がきた。で、俺が出た瞬間の一言がこれだ。失敗か?
「ませてねぇよ。それより葉子ネェのほうが子供なんじゃないの?」
「・・・まぁね。だって、いきなり私の似顔絵付きキャンディーなんて送られたらビックリするわ
 よ」
そう。結局は、ちょっとしたメッセージ付きの似顔絵にしたんだ。気持ちをストレートに文字に
するとちょっと照れるから『これからも義理チョコ頼むな』ってあつかましいこと書いたけど。
「で、あのメッセージがあつかましいからクレームの電話をよこしたってわけか」
「違うわよ!」
へ?なんだよ、それ。
「・・・今度頼む時は"義理"って単語を外しなさいよ。じゃないと、今年よりしょぼいチョコ送る
 から」
嘘!それってもしかして・・・。
「わかった。そして・・・アリガト」
「どういたしまして。けど、泰明さんのよりは劣るわよ」
「なんだよ、それ!!ひっでぇ!!」
けど、嬉しかった。これでただのいとこから昇格だよな、葉子ネェ?







−−−−−−−−−−−−−−−−−− あとがき −−−−−−−−−−−−−−−−−−
うわ、ご都合主義満載の甘々だよこれ(苦笑)
てなわけで、良夫支援も兼ねて急いで作ってみましたホワイトデーSSです。
良夫もお年頃ですから、こういう悩みくらいはあるんだぞということを書いてみたくて。
ちなみに値段は泰明さん用チョコが3000円、良夫のチョコは600円とかなり差があります(笑)
ラッピングの気合いもだいぶ違ったりしてるのがミソです。
素直じゃないけどピュアに愛してる彼のラブリーさが出てくれたら嬉しいんですけど。
で、タイトルは久々の音ゲーネタで、Luv UNLIMITEDの「CANDY☆」でございます。
ヴォーカルバージョンにするか迷ったのですが、主役が男の子なのでコッチにシフトしました。
タイトルからしてホワイトデー色が強いですが、中身はかなり可愛くて勢いのあるハピコアで
す。まさに良夫っぽいタイトル・・・なのか?(笑)



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