MAXIMUM WAVE
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日差しが照りつく七月の後半のある夜、私は部屋でゆっくり雑誌を読んでいた。
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高校の定期試験はとにかく大変だ。勉強しなきゃいけないのはわかってるけど、ずっと
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勉強ばかりだと頭がこんがらがっちゃう。だから、雑誌を読むなりして小休止を取らな
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いと覚えられないのよねぇ。そんなゆっくりしている時間の中、軽快な電子音が部屋中
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に響いた。誰からだろう…画面を覗き込むと、その主が誰なのかがわかった。由香里姉
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さんだ。おかしいな。この時期なら「休み前は忙しいから」って理由で、それほどメー
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ルや電話をよこさないはずなんだけど…。
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「あ、ゆかり姉さん」
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「やぁ、葉子。元気だった?」
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「私は大丈夫よ。由香里姉さんこそ過労なんじゃない? なんだかんだで忙しいし」
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「忙しいよ…と、言いたいけどさぁ、ちょっと聞いてよ!」
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この後、一時間ほど話し込んじゃった。ああっ、貴重な勉強時間が!けど、この時間が
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無駄じゃないって事は、お父さんやお母さんにはわからないだろうなぁ。
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要約すると、今度みんなで海に行こうってことなの。もちろん私はOKよ。だって、メ
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ンバーの中に泰明さんがいるもの。邪魔者の良夫がいるけど、今回は関係なし。ふふ
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っ、夕日の海を一緒に見たかったのよねぇ。一緒に夕日を見てぇ、その後は…って、そ
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んな展開を期待したいけどその前にテストがぁ!!
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テストが終わって数日後、私はちょっと小洒落たミニバンに乗って海岸線を眺めてい
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た。潮風が程よく窓から流れ込み、スカイブルーとマリンブルーのコントラストが眩し
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く思えるほど綺麗だった。
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「ふーっ、やっぱり海の風って気持ちイイよねぇ。心も癒されるぅ」
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「ほんっと気持ちイイ!」
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「やっぱり海はいいよな! 海は男のロマンだぜ」
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「がっはっは! 確かに海は良いが気をつけろよ。溺れたら気持ち良いなんてもんじゃ
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ないからな」
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「哲夫おじさん、全っ然デリカシーないこと言わないでよ!」
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「そうよ! せっかくバカンスモードに入ってたのに、七回忌の空気にして…どうして
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くれるのよ!」
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「うっ、すまん…」
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ちなみに、運転は哲夫おじさんと泰明さん。本当は泰明さんの車に乗りたかったけど、
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和子おばさんが泰明さんの車に予想以上の荷物を詰め込んだから乗れなかったの。おば
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さん、日帰りなのにどうやったらそんな荷物になるんですか?
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で、哲夫おじさんの車には私と由香里姉さん、そして良夫が同乗していた。この車、五
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人乗りだからちょっと広く感じるのよねぇ。けど、この広さが仇となった…。
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キキーッ!
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バチンッ!!
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車内に肉がはちきれそうな音がこだました。
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「…ってぇ。何するんだよ!」
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「それはこっちのセリフよ!!」
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良夫のヤツ…事故とはいえ私の胸に触るなんて!! そんなぁ…よりによって良夫に触
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られるなんて、最悪!!
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そんなこんなしているうちに、私たちは目的地であるビーチにやってきたのだった。
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「お待たせしましたー!…って、まだ良夫だけ?」
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「俺で悪いかよ」
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「そうじゃないけど…意外。絶対、一番乗りは哲夫おじさんかと思ったのに」
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「オレも!」
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「どうしたんだろう。もしかして水着を忘れたからどこかに借りに行ったとか?」
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「まさかぁ。哲夫おじさんのことだからどっかに"冒険"しに行ったんじゃないの?」
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「哲夫さんなら駐車しに行きましたわ」
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後ろから声がした。正美おばさんだ。やっぱり正美おばさんはスタイルがいいなぁ。お
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ばさんほど白くて清楚なワンピが似合う人ってそんなにいないんじゃあ…?
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「それにしても葉子ちゃんも可愛い水着を着てらっしゃるんですね」
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「か、可愛いだなんてそんな…」
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私のはスタンダードに赤のスポーツタイプビキニ。ちょっとカラーリングが可愛かった
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から買った水着なの。
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「ちぇっ、女はいいよな。水着で自慢し合えるからさ」
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良夫のヤツ…男の水着もずいぶんファッショナブルになったのを知らないのかしら?
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まぁ、いじけるのも仕方ないか。良夫の水着は黒の競泳パンツだもの。
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「お・ま・た・せv」
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「あ、和子おばさん…!!」
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「あら、おば様ったらお早いのです…!!」
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「母ちゃんか…って!!」
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おばさん…その年でサイケ調の水着を着るのはあなただけです。しかも、ちょっときわ
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どいハイレグタイプ。さらに似合ってるから余計怖い。
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「ふふっ、この歳になってもこんな水着が着れるから、私もまだまだ若いわねv」
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「母ちゃん…恥ずかしいからやめてくれよ」
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良夫の分をケチってまで買ったんじゃあ。そんな予感がした私だった。
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「おばさん、凄い水着ですね…」
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半ばあきれ気味に和子おばさんに話しかけたのは、他でもない泰明さん。
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泰明さんは今流行のヒップボーンタイプで、色も清涼感抜群!やっぱり泰明さんって何
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を着ても素敵v
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「まったく…何なの、その態度は!」
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「母ちゃん…頼むからオレと自分の歳を考えろよ」
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私も、お母さんがこんな水着を着てたら恥ずかしいわ。
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「いいじゃない。私は個性があって好きだよ」
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そう言ったのは、いつのまにか後ろにいた由香里姉さんだった。やっぱり流行に敏感な
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由香里姉さんは、赤のホルダー・ビキニ。
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「アハハ…やっぱり胸の無いあたしがビキニ着たってダメかな?」
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「あら、そんなことありませんわよ」
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そう反論したのは正美おばさん。
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「え、そう?」
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「そうですわ。もっと自信を持って?」
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ううっ、こんなんじゃあ私が勝てるの、和子おばさんしかいない。
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「がっはっは! 何を落ち込んでるんだい?」
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能天気に響く哲夫おじさんの声。ちなみに哲夫おじさんは褌でもなく、競泳タイプでも
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なくてサーフパンツでした。
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この時期の海水は気持ちイイ温度で肌に触れてくれる。その海水が今、私と良夫の間を
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激しく交差する。
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「オラァ、とっとと降参しやがれぇ!」
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「そっちだって、おとなしくしなさい!」
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中学生が何やってんだかと思うかもしれないけど、私だってはじけたいもの。いいじゃ
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ない、小学生と水の掛け合いやったって。そうやってふざけてるうちに、お互いの腕の
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動きが鈍ってきた。
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「ハァ、ハァ。やっぱりこうやって遊ぶのも悪くないよな」
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「本当ね…」
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ホント、今から海に浮かんでたい気分だわ。
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「ところで良夫」
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「ん、どうしたんだ、葉子姉ェ」
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「良夫、背が伸びたわねぇ。それに少し体が締まってない?」
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「へ、そう? そうだとしたら…たぶん運動部に入ってるからかな?」
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「確か陸上だっけ?」
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「陸上もやってるけど…最近は、仲間内でサッカーもやってるんだ」
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へぇ、だから海に行ってないのに焼けてたりしてるんだ。歳のわりにスレンダーなのは
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そういうわけかぁ。ちょっと羨ましいかも…。私も体育系の部活に入ろうかなぁ。
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「葉子ー、良夫ー!!」
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「なぁに、由香里姉さーん!?」
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「ちょっと、こっち来てよぉ!」
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何かあったのかしら?お互いに目を合わせてから、私たちは由香里姉さんのところへ向
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かった。
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「由香里姉さん、どうしたの?」
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「あのさ……。二人に謝らなくちゃいけないことがあるのよ」
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「何かあったの?」
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「…ごめん。私、止められなかったわ」
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ものすごく申し訳なさそうにうつむく由香里姉さん。だからぁ、何があったのよ。
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「哲夫おじさん…和子おばさんが用意した昼食、全部食べちゃったのよ」
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………………。
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『えぇ〜っ!!!!』
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ちょっとした穴場のビーチに、私たちの悲鳴が響き渡った。
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哲夫おじさん、覚えてなさいよ。食べ物の恨みは怖いんだから…。
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「だから…急きょ、帰ることになったから。ごめんね」
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帰り道、私は哲夫おじさんの車に乗っている間、良夫と一緒にいじめまくったのは言う
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までも無い。私のご飯とロマン輝く夕暮れ時を返して!
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