新堂君のいや〜な一日
「あ〜〜〜〜」 「あ゛?」 「新堂先輩、見〜〜つけた〜〜〜」 ダキッ 不意をつかれて後ろから誰かが抱き付いてきた。 「ぐぉ!!」 福沢だった。 「ん?」 「ふ・・・福沢・・・。首・・・・苦しい・・・・」 「きゃ〜〜新堂先輩ゴメンなさい!!」 「ゴホ!ゴホ!・・・・んで、なんの用だ?」 「ん〜〜用は特にないです」 「俺、忙しいからまたな」 忙しくはなかったが、俺は福沢と話をしている時間は無かった。 早く行かないとまた奴が現れる。 そして、また邪魔される。 「あ〜〜ん、新堂先輩もう行っちゃうの〜?」 俺は急いで新聞部の部室に向かった。 ガチャ 「あ。新堂先輩」 思った通り、あいつは部室にいた。 奴はまだ来てなかった。 「よう」 「どうしたんですか?」 「今、ちょっといいか?」 「今ですか?別にいいですよ」 「話があるんだ」 俺は真剣な顔で言った。 「なんですか?」 あいつの顔から笑顔が消え、真剣な顔になった。 「実は・・・俺・・・・」 いつもならとっくに奴が現れてた。 今日は大丈夫だと思った瞬間・・・・ ガチャ 部室のドアが開いた。 ・・・・・・奴だった。 「やぁ恵美ちゃん・・・・と邪魔なのが一人」 奴はいつも、俺が告ろうとした瞬間に現れる。 「あ゛?なんか言ったか風間?」 「風間先輩」 「・・・・おやぁ?新堂〜。何してるんだい?」 相変わらずムカツク奴だ。 「てめーに関係ねーよ」 「ほぉ〜・・・そうかい」 「どうしたんですか?風間先輩」 「いや〜〜君に話があってね。ちょっといいかい?」 奴はニヤニヤしながら言った。 「はぁ・・・今はちょっと・・・・」 「俺が先に、こいつに用があるんだよ」 「そうかい。では、早くその用を終らせてくれないかい?」 相変わらず嫌な野郎だ・・・・。 「じゃぁ、ちょっとどっか行っててくれないか?」 「ん?僕がいると出来ないのかい?」 「・・・・・・・・・」 あいつは、ちょっと困った顔をしている。 「まぁ・・・・そういうことになるな」 「ふ〜ん。悪いが僕はここを出ないぞ。君の用が済むまでな」 「・・・わかった。俺が出てけばいいんだな?」 「そういうことさ」 「倉田。ちょっとついて来てくれ」 「え?あ、はい」 「新堂・・・」 「なんだ風間?」 「いいかげんにしろよ・・・・・・」 奴は、ちょっとキレかかっていた。 「なにがだ?」 俺は、さらに奴を挑発した。 「・・・・・・」 あいつは、さっきよりもっと困った顔をしている。 「僕は紳士だが、もう限界だよ」 「ふ〜ん、それで?」 「あのぉ〜。新堂先輩・・・風間先輩・・・」 あいつが、俺と風間を止めに入ってきた。 「ケンカは・・・・・・やめましょうね?」 「・・・君がそういうのなら僕はやめよう」 「お前がそういうんだったらな・・・・・・」 あいつにそんな事言われたら、やめるしかないだろう・・・・。 「今日はもう帰るかな」 いつもなら、もっと俺の邪魔するのに・・・。 一体、どうしたのだろうか。 「そうですか・・・・。さようなら」 「・・・・・・」 奴が部室を出ようとドアの前に立った瞬間・・・ ガチャ また部室のドアが開いた。 ドアの前にいたのは・・・・・日野だった。 「あ〜〜日野先輩」 あいつは何故か嬉しそうな顔をしている・・・。 「話し声がするから寄ってみたら、まだいたのか倉田」 「はい。ちょっと出来てないとこがあったので・・・・」 日野と話をする時だけ、あいつは楽しそうな顔をしている・・・・。 「・・・・にしても、なんで新堂と風間がいるんだ?珍しいな」 「・・・・僕はもう帰るところさ」 奴も、あいつの変化に気付いてる様子だった。 「そうか・・・。倉田、もう帰ってもいいぞ」 「いえ、もう少しやらなきゃいけないとこもありますし・・・」 「そうか。まぁ俺も、ちょっとやらなきゃいけない事があるから来たんだけどな」 「そうなんですか」 ・・・・・・あいつは、かなり喜んでいる。 もはや、俺と風間は眼中にない状態だ。 俺も・・・帰ろう・・・・・・。 「俺も帰るかな」 「そうですか。さようなら新堂先輩」 「おぅ帰るのか。じゃな〜風間。新堂」 「「日野・・・いつか必ず殺してやる」」 この時初めて、俺と奴は同じ気持ちになれたのかもしれない。 「ん?なんか言ったか、お前ら?」 「「いや?別になにも」」 ガチャ 俺と奴は部室を出た。 「・・・日野の奴、許せんな」 先に話し出したのは奴だった。 「ああ」 「まさか恵美ちゃんがな〜日野を・・・・・・」 残念そうに奴が言った。 「以外だな」 俺も、かなりへこんでいた。 もっと早く、あいつの気持ちに気付いていれば・・・・・・。 そのあと、俺は奴と途中まで一緒に帰った。 あいつと日野の話しをしながら・・・・。 おそらく奴と話しが合うのは、これが最初で最後だろう。 「はぁ〜ホントムカツクな」 「そうだな」 なんか奴と話してるうちに、だんだんバカらしくなってきた・・・・。 明日も学校がある。 明後日も・・・・明々後日も・・・・。 そしてあいつと顔を合わせる。 「学校行くの・・・やめるかな・・・・・」 「ん?なんか言ったかい?」 「別に・・・・」 「僕はあっちだからここらでさよならだ」 「そうか。じゃぁな」 俺はもう、考える事を止めた。 なんか疲れてきた。 今日は一段と疲れた。 早く家に帰って寝よう・・・・・・。


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