風間旅館にて 〜現実編
   ・・・・・・誰だろう?私を呼ぶ声がする・・・。それにもうここは・・・・・・?
葉子「う〜ん・・・」
坂上「葉子ちゃん、葉子ちゃん!」
葉子「あれ?坂上先輩・・・」
坂上「どうしたの? 随分うなされていたよ・・・」
   そうだった。私は大学生だった。どうして、中学の時の夢なんか・・・?

   しかも、講義中に寝てるし・・・。
坂上「葉子ちゃん、顔色悪いね・・・。ちょっと休んで落ち着いたら?」
葉子「ありがとう先輩。でも大丈夫・・・あっ・・・」
坂上「ほらほら、やっぱりダメだよ。さあ、行こう。僕が連れて行ってあげるよ・・・」
葉子「すいません。そうします・・・」
坂上「先生!前田さんが気分が悪いそうなんで、僕がちょっと介抱してあげたいん
   ですが・・・」
石井「いいよ・・・フフフ、僕も病院に行きたいな〜・・・」
坂上「・・・失礼します。(石井先生には、かかわらないようにしよう)」
   僕はとりあえず食堂で何か飲ませて落ち着かせようとした。
   そして・・・

葉子「!?(あれは夢じゃなかったの・・・?いえ、これは現実、きっと何かの間違い
   だわ・・・)」
坂上「あれ?風間さんじゃないですか・・・ どうしたんですか? こんなところで・・・」
風間「坂上君、君って失礼な人だなあ〜。卒業して就職先が見つかってないからって、
   僕のようなエリートがこんなとこに勤めるわけないだろう!!」
葉子「また、風間・・・」

   そして、坂上さんが、私にコーヒーを持ってきてくれた。
葉子「!?これって、コーヒーに色が似ているけど何か違うような・・・」
   飲むのをためらっていると先輩は・・・。
坂上「ああ、それ『ヨンブラ茶』って言うんだ。おいしいよ・・・」
葉子「えっ、遠慮しときます。」
坂上「そう? やっぱりね・・・。じゃあこっちのおしるこドリンクを・・・」
葉子「わあ〜、これ大好きなんです。」
   彼女はとても嬉しそうだ・・・
坂上「そう? 葉子ちゃん、君っていい趣味してるね〜・・・」
   さっきから、風間さんの視線を感じている・・・坂上さんは気づいていないの
   かしら・・・
   辺りを見ると、太った人が1人で『超特大ジャンボカツカレースンバラリア
   風味』を食べている・・・(汗)
   あれ?向こうから女の人が・・・

元木「坂上君!また浮気したのね!!」
坂上「早苗ちゃん、何を言ってるの?」
元木「とぼけたってダメよ! あなたがジュースに睡眠薬を混ぜて、女の子をホテル
   に連れこんでるってことを知ってるのよ!!」
坂上「(ギクリ)・・・またまた〜。早苗ちゃん夢でも見たんじゃないの?」
元木「嘘!!おばあちゃんが言ってたよ!!坂上君が浮気してるって・・・。そのこと
   全部よ!!!」
   坂上先輩も負けじと言い返す。
坂上「証拠は・・・? 証拠はあるのかい?」
元木「見せてあげるわ!!」
   すると、元木さんは私のおしるこドリンクを取り、風間さんに・・・
元木「風間さん、飲んでみて!!」
風間「ちょっと待って、ウグッ!!・・・」
   すると元木さんは、風間さんに無理矢理飲ませた・・・
風間「あれ?何だか・・・眠く・・・・・・・・・・・・グガーッ、グガーッ・・・・・・・・・」
   風間さんはいびきをかいて寝始めた。すごい効き目だ。
   あれを飲んでいたら今頃は・・・(きゃっ!なんてはしたないことを・・・)
   太った人はカレーのおかわりを食べていた。今度は『ごきちゃん入りカレー
   ウンタマル風味』を・・・
   すると、またしても女の人がこっちに・・・

田口「坂上先輩!!元木先輩と別れるってこの前約束したじゃないですか!!!
   ・・・なのに、まだ別れてないんですか?」
坂上「いや〜、あの、その、これはつまり・・・えーと・・・」
元木「坂上君? あなた私より田口さんを選ぶの・・・?」
田口「坂上先輩、あの桜の木の下で永遠の愛を誓ってキスしたじゃないですか!!
元木「坂上君!!」
葉子「・・・(何だか修羅場みたい・・・。それにしてもショック・・・。坂上先輩を
   狙っていたのに・・・シクシク・・・)」
   太った人がのどに詰まらせてる・・・。
   あれ?今度は岩下さんまでやってきた。
   ちなみに岩下さんは、この学校の大学院生である。

岩下「坂上君・・・裏切ったらどうなるかわかってるわよねぇ〜・・・・・・」
   すると、岩下さんはカッターを取り出し、刃を出し始めた。
坂上「あっ、明美さん・・・!?」
岩下「チキチキチキ・・・殺してやる、殺してやる!!」
田口「ぶけみさん辞めてください!!」
葉子「・・・・・・」
   太った人が素知らぬ顔で今度は『カメムシスパゲティニャリン仕立て』を
   注文してる・・・。
   そんな時、日野先輩が現れ・・・

坂上「あれ? 日野さんじゃないですか・・・」
元木「ほらほら坂上君、妹さんが傷物にされたって怒りに来たわよ・・・」
坂上「・・・嘘だろ。」
田口「お兄ちゃん!私達の交際を認めて!!」
日野「坂上・・・」
坂上「すいません、すいません・・・」
日野「坂上!! どうして元木や真由美の想いには応えて、俺の想いに応えてくれ
   ないんだ!!」
葉子「・・・(坂上先輩って、両刀使いだったんだ・・・)」
岩下「坂上君! 私と、燃えるように激しく愛し合ったあの夜のことを忘れたって
   言うの!?」
元木「ひどいわ坂上君!私と言うモノがありながら・・・」
田口「先輩は私のモノよ!!!」
日野「坂上・・・お前は俺のモノだ!!」
   その時、坂上さんのケータイが鳴った・・・
坂上「もしもし・・・洋子ちゃん?今はまずいんだ、また後で・・・」
洋子「あっ!ちょっと坂上君・・・」
元木「坂上君、洋子ちゃんにまで手を出したの?」
   太った人がおいしそうに『ヨンブラ茶』を飲んでいる・・・
   すると、また女の子が・・・

福沢「坂上君? 私との約束はどうなったの?」
坂上「え〜っと・・・」
元木「玲子ちゃんにまで・・・」
   半ば元木さんも呆れ果てている・・・
葉子「・・・(坂上先輩っていったい・・・。“食堂の乱”勃発かしら? あれ?あの太っ
   た人がこっちに来る・・・」
坂上「ふっ、太田さん・・・」
細田「誰が『太田』だって〜? 僕は細田だよ・・・」
坂上「いったい何の用で?」
細田「坂上君!!君って人は僕の女神様までをも汚したのか?」
   細田さんは怒っている形相だった・・・。
坂上「そっ、そんなこと・・・」
福沢「近寄らないで!!このストーカー!!」
細田「そんなこと言わないでくれよ! 君は僕の女神様なんだから・・・」
   細田さんは今にも泣きそうだ・・・
福沢「知ってるのよ!!あんたが電ノコを持って、家の風呂場の壁を壊そうとした
   ことを!!」
細田「ちっ、違うんだ!! あれは坂上君に命令されたんだ・・・」
坂上「僕はそんなことしてない!!」
細田「坂上君は盗撮マニアなんだ。だから僕の恋心を利用して・・・」
坂上「・・・違う!!盗撮マニアは僕の兄だ!!」
細田「じゃあ、なぜあんなことを命令したんだ?」
坂上「・・・風間さんが10万円で買うって言うから・・・」
風間「・・・驚いたな〜坂上君。よくもそれだけの嘘を並べられたものだ・・・。
   はは〜ん、さてはお前タヌキだな? いつも食堂の残飯をあさる・・・」

   また人が来る・・・
戸部「坂上さん。大倉金融のものですが、支払い期限が過ぎてるんですが・・・?」
坂上「戸部さん・・・」
一同(葉子を除く)「坂上!!」
葉子「・・・・・・」
坂上「あわわわ・・・仕方ない・・・」
   坂上は何かワッペンのようなものを取り出した・・・
坂上「転送!!」
   すると坂上さんの体は光に包まれその場から消えてしまった・・・

   ・・・しかし・・・
坂上「なっ、なぜだ!? なぜ戻ってきてしまったんだ〜!!」
岩下「坂上君。そんなことをしても逃げられないわ・・・。あなたは私から離れられ
   ないのよ。永遠に・・・。永遠に・・・。永遠に・・・。永遠に・・・・・・」
坂上「うわ〜〜〜っ!!」
葉子「さてと、今のうちにここから脱出しよう・・・」

   ・・・いったいさっきの騒ぎはなんだったのかしら?
   それにしてもどうも体の調子が・・・
荒井「あれ?大丈夫ですか?」
葉子「・・・・・・」
荒井「大変だ!すぐにそこの病院に連れて行こう・・・」
   
   ―病院にて―
医師「どうしました?」
葉子「ええ、ちょっと気分が悪くて・・・」
医師「それはいけませんねぇ〜・・・」
葉子「ええ・・・。!?」
   私は一瞬、自分の目を疑った。その顔は紛れもなく風間さんだった・・・
風間先生「さあ、葉子ちゃん。この注射をすれば君の病気はすぐ良くなるよ・・・」
葉子「いやぁ〜〜〜〜!!!!!」
風間先生「葉子ちゃん。君は僕と結ばれる運命なんだ!さあ!!一緒にスンバラ
     リア星に行こう・・・」
葉子「・・・夢なら覚めて!!お願い!!!」
風間「嬉しいことにこれは夢じゃないんだよ・・・。さあ!我が故郷スンバラリアへ・・・」
   風間さんの周りから光が放たれている・・・
風間「転送!!」
葉子「・・・お父さん、お母さん、そして泰明さん。私はスンバラリア星で王女として
   生きていきます・・・・・・さようなら〜〜〜・・・・・・」

   『全ては闇の中に・・・』
                 
                                    
THE END
P.S. その後、坂上と葉子がどうなったのかは、誰も知る由はなかった・・・・・・


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