41:相手探しのバレンタイン

葉子「2月になったらバレンタインだね」
葉子の友達「女子高じゃ関係ないよー」(←以下、友と表記)
葉子「あはは・・・寂しい会話だねぇ・・・」
友「こうなったら、他校に行った中学の時の友達に頼んで、新しい出会いを 
  見つけるか」
葉子「そんな事できるの?」
友「任せなよ。うまくいったら、合コンに誘い出してさ♪」
葉子「合コン?・・・合唱コンクール??」
友「天然もここまでくると才能かもね・・・」

−次の日・ある学校にて−
友「玲子、紹介するね。こっち、高校の友達で葉子ちゃん」
葉子「初めまして」
友「葉子、こっちが飯島さんから【オキャンピー】って言われた福沢玲子」
福沢「変な紹介すな!」(学怖小説:下巻あとがき参照)
葉子「でね、オキャ・・・もとい玲子ちゃん。バレンタインなんだけど」
玲子「そっちは女だけだもんねぇ。希望は?」
葉子「年上の人がいいかな〜。先生でもOKです」
玲子「そっか。まずは職員室へ行ってみよっか」

−職員室−
玲子「あの先生どう?体育の若月先生だよ」
葉子「体育会系はちょっと・・・」
玲子「向こうの先生は?近藤先生」
葉子「後ろで、睨んでる女の人いるから怖いです・・・」
玲子「あの人。芦村先生は?」
葉子「気難しそう・・・」
玲子「あっちの先生、数学の米山先生じゃダメ?」
葉子「ちょっと頼りない感じが嫌かな・・・」
玲子「う〜。イチかバチかで理科の白井先生」
葉子「疲れそう・・・」
玲子「ふぅっ。葉子ちゃんって好みが複雑なのね」
友「玲子がもっとマシなの紹介しないからだよ」
玲子「じゃ最後。奥にいる校長先生」
友「またそんな紹介して!葉子、気にしちゃいけないよ」
玲子「ごめんごめん。葉子ちゃん、今の冗談だから−−」
葉子「ちょっと・・・タイプかも」(照れ)
玲子・友「はぁっ!?目を覚ませ〜!!」

−教師は諦め、生徒から探す事になった・・・−


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42:Voyage A

福沢「あービックリした」
葉子「ちょっとしたギャグだったのに・・・」
友「葉子が言うと、どこまでが冗談かわかんないの」
福沢「じゃあ生徒から探すよ。え〜と、まずは・・・バレンタインとは無縁で
   も、ルックスが取りあえず無難な人で−−」

−ガチャ−
福沢「日野先輩、お久しぶりです」
日野「おう、福沢か。部室に来るのは珍しいな。どーした?」
福沢「女子高の知り合いを連れてきてるんです。(葉子ちゃん、どう?)
葉子「(悪くはないですね)こんにちは」
日野「?お前らコソコソと何話してるんだよ」
福沢「こっちの話でーす。今日は忙しいので、お邪魔しました〜」
日野「待て福沢。入る前に聞こえた、取りあえず無難な人ってなんだ?」
福沢「気のせい気のせい」
葉子「部活頑張って下さいね」
−バタン− ←葉子、手を振りながら強引にドアを閉める
日野「・・・・・・俺のことか?何が取りあえずなんだ・・・??」

福沢「1人確定っと」
葉子「玲子ちゃん、今のは3年の先輩だよね」
福沢「そだよ」
友「年上もいいけど、同い年も押さえておきたいな」
福沢「同い年?私が勧められる人だったら−−」

−1年E組・教室内−
福沢「さ・か・が・み・くん。居る?」
坂上「ひぃっ!!・・・福沢さんか・・・」
葉子「今の異常な怯え方、どうかしたんですか?」
坂上「・・・最近、岩下さんって言う先輩の監視の目が鋭いんだ」
福沢「岩下さんねぇ。どこで見張ってるかわかんないから怖いよね(笑)」
坂上「毎日気が抜けないよ・・・。ところで福沢さん、この人たちは?」
福沢「女子高行ってる友達。(二人とも、どう?)
葉子・友「(別に問題なしかな)こんにちは」
福沢「よかったじゃん坂上君。バレンタイン、楽しみにしてなよ」
坂上「福沢さん・・・また怪しい事を企んでるのかい・・・?」
福沢「企むなんて失礼ね!」


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43:Voyage B

−1年の教室前・廊下−
福沢「2人目は坂上君で決定っと」
葉子「あとどうしよう?」
友「うーん、2人だけってのはつまんないし、もう1人いない?」
福沢「あと1人か。荒井先輩、まだ校内に残ってるかな」
−細田通りかかる−
細田「あれぇ〜、福沢さんだ。こんな所で会うなんて奇遇だなぁ」
福沢「はぁっ!?1年の階へわざわざ出向いて来て白々しい・・・!!」
葉子「れ、玲子ちゃん。体から憎悪のオーラが出てるよ・・・」
福沢「ごめんね、つい。(コイツどう?)
葉子・友「(ちょっと・・・)気にしないで」
細田「あれれ・・・こっちの子たちも、福沢さん並に可愛いね〜」
福沢「うっとうしいな!!葉子ちゃん、行こ!」
−新堂通りかかる−
新堂「福沢、そんなに大声で怒鳴るなよな」
福沢「あっ、新堂先輩!こんな所で会うなんて奇遇ですね♪」
細田「さっき僕が言ったセリフなのに・・・」
新堂「坂上にCD返しに来たからよ。それより見慣れない奴ら連れてるな」
福沢「紹介しますね・・・きゃあ!」
−福沢を押しのける−
葉子「女子高行ってる前田葉子です!」
友「同じく女子高行ってます!よろしくお願いしますね」
福沢「ちょ、ちょっと〜。2人とも反応が今までと違う・・・」
新堂「・・・福沢のダチって変わってんな。まっ、いいけどよ」
−新堂はE組へと消えていく−
葉子「玲子ちゃん。最初にあの先輩を紹介してほしかったなぁ」
福沢「ごめんね・・・新堂先輩は倍率高いからさ」
友「どれくらい?」
福沢「アタシの情報だと去年のチョコ総数は、200を越える計算だよ」
葉子「でも、狙ってみる価値アリだよね。チョコ作りの練習しなきゃ!」
友「よし。収穫あったし、今日は帰ろっと。ありがとね玲子」
福沢「うん。途中まで一緒に行こう」
−葉子たちは元気に1年廊下を後にした−

細田「いいんだ・・・僕なんて・・・」


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44:Voyage C

由香里「へぇ〜、違う高校の男の子にあげるわけ」
葉子「やっぱり女の子どうしであげるのは悲しいし」
由香里「泰ニイにはあげないの?」
葉子「泰明さんは、中村俊輔の取材でイタリアに行っちゃったんです。
   ・・・それより由香里姉さんが手作りなんて珍しいですね」
由香里「心境の変化ってやつかな。早いとこ作り方教えて」

−手作りトリュフチョコレート(紅茶風味)作成開始−
葉子「手なべで水を沸騰させて、ダージリンの葉を1分くらい蒸します」
由香里「紅茶の葉ね」ドサドサドサ
葉子「い、入れすぎです!20gあれば充分ですよ(汗)」
由香里「早く言ってよね〜。戻しとけばいいか」
葉子「次に生クリームを加えて火にかけて、ボールに入れたチョコに注ぎこ
   みゆっくりとしっかり混ぜ合わせます」シャカシャカシャカ
由香里「こうか」ガシュ!ガシュ!ガシュ!
葉子「ラップをひいたパットにうすく流して冷蔵庫で冷やします」
由香里「なるほどね・・・あっ!こぼれた!」
葉子「うすく流してって言ったのに・・・」

−冷蔵庫に入れて30分〜1時間冷やす−
葉子「固まったら適当な大きさにカットして、砂糖をまぶします」
由香里「どれどれ」
葉子「あまりゴツゴツだとイメージ悪いですからね。砂糖はつけすぎに注意
   してください」
由香里「料理の先生みたいだなぁ〜」
葉子「心配なんだもん・・・。で、最後に温度調節したコーティングチョコで
   コーティングして、手早く丸めて砂糖をからめます。できました?
   由香里姉さん?」
由香里「簡単じゃん」
葉子「な、何か粘土細工みたいにいびつで、大きさが不揃いですよ(困)」
由香里「そっかな?アタシらしくていいじゃん。もっと作ろ」

−バレンタイン当日−
由香里「井上先輩、しょうがないからあげるよ」
井上「何だこれ?」
由香里「チョコだよ。見てわかんないの・・・由香里特製チョコ」
井上「おお!?これチョコか。俺はてっきり石の破片かと思ったぞ」
由香里「感じわる〜。どーして一言ありがとうって言えないかな・・・」
井上「食う事はできそうだな。あんがとよ。・・・ところでこれは本命か?」
由香里「ぎ、義理だよ義理!バイト仲間に配ってんの」
−顔が赤い由香里ネエであった−

注釈:井上先輩→由香里3話目に出てくるバイトのライバル


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