49:わらし様
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−わらし様−
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それは人が生き延びるために人を犠牲にする、悲しい風習によってできたもの
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ねぇ、母ちゃん。家に来た女の人、どこに行ったの?
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あの人はわらし様になってくれたんだ。だからお前も、父ちゃんも母ちゃんも
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生きてられるんだよ。
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わらし様?
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神様からの贈り物だ。この前のわらし様を家の中に奉ってあるから、お前も感
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謝するんだよ。
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うん、わかった。でも、わらし様って怖い・・・すごい形相で睨んでるから・・・。
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睨んでるんじゃないさ。首を落とすと、あんな顔になるんだよ。あと、わらし
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様は夜中は見ちゃいけない。絶対にね。見ると・・・・・・
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見ると・・・どうなるの・・・・?
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わらし様がお前の首に噛みついて、食いちぎってしまうのさ!!
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こんな顔でなぁ!!!
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立川「良夫、俺さ・・・こんな夢を見るときあるんだ」
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良夫「そこで目が覚めるのか?」
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立川「その後も何か続きがあるんだけど・・・女が襲って来たトコまでしかわか
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んなくて」
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良夫「立川、夜寝る時にお守りつけたらどうだ」
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立川「夢なんかにゃ、効果ねえだろ」
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良夫「気休めかもしれないけど、とにかくやってみろ」
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立川「お、おう・・・」
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お前の一族を、末代まで呪ってくれる。
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そんな代物で私の積年の恨みが静まるものか!
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−次の日−
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立川「おい良夫・・・これ見てくれよ」
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良夫「これ・・・」
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立川「お前に言われてお守り持って寝たんだよ。何だよこれ!一日でボロボロ
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じゃん・・・俺、怖いんだよ。得体の知れないモノに狙われてんだよ!
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助けてくれよ!」
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良夫「わ、わかった。今日、お前の家に泊まってやるから、とにかく落ちつ
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け」
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−夜・立川の部屋−
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良夫「・・・で、立川だけ寝ちまったか。なんか目が冴えてんだよな・・・」
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−コトッ−
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良夫「ん?・・・音がしたような・・・?」
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おまえはこの家の者じゃない。何をしに来た?
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良夫「わわ!いつの間に・・・・・・。わらし様だな・・・」
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おまえには関係ない。復讐の邪魔だ。立ち去れ。
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私の事は忘れろ、誰にも喋るな
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良夫「逆さ女かよ・・・。と、とにかくだ。立川に手を出すのはやめろ!」
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何がわかる・・・?もう少しで愛しいあの人の村へ帰れたものを・・・!
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子供に何がわかる・・・!
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良夫「た、確かに子供だけど、今の立川には関係ないんだ。もうやめろ!」
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黙れ!黙れ、黙れ、黙れ!!邪魔者は・・・許さん!
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良夫「はぁ〜。聞き分けのねぇヤツなんだな、わらし様ってのは。おとなしく
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引き下がればいいのにさ」
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−朝−
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立川「おーす良夫。昨日はなにもなかったのかな?変な夢も見なかったよ」
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良夫「そっか。よかったな。もう大丈夫だと思うぜ。わらし様は眠ったから」
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立川「わらし様?」
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良夫「なんでもねえよ。それより日曜だから、サッカーでもしに行こうぜ!」
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俺には、わらし様より強いおふるど様がいるからな。
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おふるど様がいれば、俺はどんなヤツより強いんだよ。よかったな立川。いい
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友達がいてよ♪
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