89:カラサワギ

葉子「問題でーす。2月9日は何の日か知ってますか?」
哲夫「2・9(ニク)で語呂合わせがいいから、近所の焼肉屋が半額セール
   する日じゃないかい」
葉子「違います。2月9日は【旧元日】ですよ。常識じゃないですか」
由香里「そんなの知ってる女子中学生って、決して多くないと思うよ・・・」
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葉子「クラスの男の子17・先生6・泰明さんに良夫に哲夫おじさんと。
   ざっと30個で充分かな」
由香里「葉子、全部手作りチョコなんて大変じゃん」
葉子「お返しはもちろん高望みします。良夫には恩を売るって感じで。でも
   豪華な手作りは泰明さんだけ〜」
由香里「計画書まで作ってるんだ。見せてみ」

【☆葉子のバレンタインチョコ計画書☆】
泰明さん:半日がかりでバッチリ決めちゃう!
良夫:テキトーに。ハート型だと生意気になるから。
哲夫おじさん:テキトー。板状でも何でもいいや。形なんて見ないよきっと。
学校の人:どうでもいいかな、別に。

由香里「さすが葉子というか・・・すごい計画書だわ、こりゃ」
葉子「由香里姉さんったら、そんなに褒めないでくださいよ〜」
由香里「幸せな性格ねアンタ」
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良夫「ん?葉子ネエから何か来てら」
【良夫へ。いい?これは義理チョコよ。ぜぇ〜ったい義理ですからね。仕方
 なくあげるのよ。感謝なさい、私の手作りチョコなんだから。おばさんを
 困らせないで、勉強もしっかりするのよ!葉子より】
良夫「義理、義理ってうるせーな。どうせ泰明さんのは本命と書いてんだろ。
   みてろよ、俺だって大人になれば背も伸びて泰明さんみたいになるぜ」
〜良夫の回想〜
哲夫「良夫君!男は腕力だ。筋肉は男の青春だぞ〜!(←意味不明)」

良夫「俺・・・どっちに似るのかな・・・」


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90:春風の会話

哲夫「葉子ちゃんは春から高校生だったな」
葉子「そうですよ。あっ、もう入学祝いくれるんです?」
哲夫「土筆つくしふきとうの食べ方なら、入学祝いとして教えてあげるぞ」
葉子「期待した私がバカだった・・・」
泰明「それにしても葉子ちゃんも高校生になるなんてなあ」
葉子「中学って3年だから早いですね。でも小学校より楽しかったから卒業式
   は泣いちゃうかも」
哲夫「おおう!それこそ青春だ。自分なんか男泣きしたもんだ」
葉子「誰も訊いてませんってば・・・」
由香里「ついこの間な気がするよ。葉子が小学校に入学したのがさ」
正美「葉子ちゃんが『1年生になったら〜友達100人できるかな』と歌って
   る姿が可愛かったですわ」
由香里「今なんか1学年に生徒が100人いるかどうかも怪しいのにねえ」
葉子「実も蓋もないですね・・・」
良夫「何にしても高校生となれば、葉子ネエでも大人っぽく見えるよな」
葉子「むっ。良夫、その言い方ムカつく!」
良夫「しょうがねぇだろ。葉子ネエなんて外見が子どもだぜ」
哲夫「それはいかん。葉子ちゃん、やはり新陳代謝の促進のために蕗の薹の
   調理法を教えよう!さあ仕度しておじさんと山へ直行だ!」
葉子「鼻息を荒くしないで!蕗の薹から頭を離して!」


・土筆(つくし):春になるとニョキニョキと生えてくる。食用としても可。
・蕗の薹(ふきのとう):春の植物。せき止め・花粉症・疲労回復などに効くとか。


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91:愛知のイベント

泰明「葉子ちゃん、この入場チケットあげるよ」
葉子「今度の【愛・地球博】のなんて貰っちゃっていいの?」
泰明「開幕前の特番で取材に行ったツテでさ。連休に家族で行ってきな」
葉子「わーい、泰明さんありがと」
哲夫「兄さん、自分も欲しいんだけど無理っすか」
泰明「別にあげてもいいが・・・『いただけませんか泰明様』と言えよ」
哲夫「殺人クラブっすか?」
葉子「うわ、泰明さん、哲夫おじさんなんかにツッコまれてる」
泰明「冗談だよ哲夫、ははっ・・・。しかし哲夫が喜びそうな『険しい山』とか
   『未知の生物』なんて無いけどいいのか」
哲夫「無いっすか!?万博のクセに冒険心が無いなんて残念だ」(ガックリ)
葉子「哲夫おじさんの冒険理由って、子供そのものだったんですね・・・」

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更紗「マンモスの頭も展示されるのね。どうして残ってたの?お兄様」
恭介「腐敗が進まない、凍土の中にあったからだよ」
更紗「ふ〜ん」
恭介「更紗、兄さんを冷蔵庫に入れてみたりなんて・・・するなよ」
更紗「・・・ちぇっ」


・マンモス:愛知万博のメーンパビリオンにて、開催期間中に展示予定。

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92:お返しの日

由香里「もう3月だねぇ。ちょっと前にバレンタインだって騒いでたのに」
葉子「2月と3月って曜日が一緒だから変な感じですけどね」
由香里「・・・あっ本当だ」
葉子「由香里姉さん、気づかなかったんですか。今まで?」
由香里「・・・そんなに驚かなくってもいいじゃん」

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良夫「まいるよな〜、ホワイトデーなんてよぉ」
葉子「生意気言っちゃって。返す相手がいるだけ幸せと思いなさい」
良夫「俺はテキトーな物を返すからいいんだけどよ。母ちゃんがなぁ」
葉子「和子おばさん?」
良夫「風間ってヤツから、毎年変な物をお返しに貰ってくるんだよな」
葉子「どんなの。見せて」
良夫「こっちの部屋に置いてあるぜ。ルーベライズ・姿見の合わせ鏡・こっく
   りさん用の紙まであるんだ」
葉子「・・・おばさん、いちいちとっておくんだ。健気ね」
良夫「この宝石は願い事が叶うとか言われたらしいけどな。葉子ネエやって
   み」
葉子「それじゃ・・・『私と良夫が、永遠の愛で今夜結ばれーー』
−ガラ−
和子「良夫!部屋へ勝手に入っちゃダメって言ったでしょ!」
良夫「げ、母ちゃん!」
和子「あら、葉子ちゃんまで。夕食の用意はできたから広間で待ってるわよ」
葉子「ごめんなさいおばさん。ほら、良夫行くよ」
良夫「もしかしたら何か起こって、面白くなりそうだったのになぁ〜」
葉子「あんなのウソ物に決まってるじゃない。だから良夫とって祈ろうとした
   の」
良夫「俺だって信じてねーぜ。ガキじゃねーんだから」

−誰が得をして、誰が損をしたか。真相は闇の中へ−


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