1.七不思議をすることにした。


僕は倉田さんの忠告を気にしないで七不思議の責任者になった。
「それでは1話目をどうぞ・・・」

1人話し終わるたびに語り手は消えていった。
それでも僕は七不思議を続けた。
そして最後の1人も消えてしまった・・・・・・。
僕は今、旧校舎の女子トイレの前にいる。
目の前には仮面をかぶった1人の少女が立っている。
不気味な仮面だった。
だけど不思議と怖くはなかった。
むしろ懐かしい感じがした。
仮面のせいで、少女がどんな表情をしてるのかはわからない。
この少女が新堂さんや岩下さん達6人を殺したのだろうか・・・・?
僕がそんな事を考えてると、少女は口を開いた。
「君は・・・・・」

「!!」
声を聞いた瞬間、僕は驚いた。
その声は、僕に忠告してくれた倉田さんの声だった。
「君は・・・・あたしの忠告を無視したのね・・・・」
倉田さんは悲しそうに言った。
「倉田さん・・・・・」
「君があたしの忠告を素直に聞いていたら、こんな事にはならなかったのに」
「?!それは僕のせいで6人が死んでしまったと言うことですか?」
倉田さんは仮面をはずした。
「そういう意味ではないの・・・」
「え?」

・・・・・・・・
僕は、倉田さんが何故死んでしまったのかを聞いた。
「・・・だからって殺す事はないんじゃないか?」
「・・・・・・」
倉田さんの目から涙がこぼれた。
「君なら・・・君ならあたしの気持ちをわかってくれると思ったのに・・・・・」
「倉田さん・・・・・・」
「だから・・・君には忠告したのに・・・・。君は・・・・それを・・・」
倉田さんが何を言ってるのか、僕にはよくわからなかった。
忠告を聞かなかったことをそんなに怒っているのだろうか?
「倉田さ・・・・・」
ガッ
突然、倉田さんは僕の首をつかんできた。
「!!」
「く・・・・倉田さ・・・・ん・・・?」
倉田さんは泣きながら言う。
「君が悪いのよ。・・・忠告を聞かないで・・・あたしの気持ちもわかってくれなかっ
 た」
倉田さんの腕にだんだんと力がはいってきた。
「倉田・・・さん・・・。くる・・・し・・・い・・・」

「忠告を聞いていれば・・・こんな事にはならなかったのよ・・・・」
「え・・・・?」
「忠告を聞いていればこんな事にはならなかったわ。あたしはあなたを殺さなく
 てよかったのに・・・・・」
「ガハッ!」
僕はこのまま、倉田さんに殺されてしまうのだろうか?
僕が素直に忠告を聞いていれば・・・・。
「わたしは・・・・・。あなたまで殺したくなかったのに・・・・・」
意識がもうろうとしてきた・・・・。
「倉田さん・・・たす・・・・・け・・・・て・・・・・」
「さようなら・・・坂上君。あなたにはこっちの住人になってもらうわ」
倉田さんがなにを言ってるのかさえ僕にはもうわからない。
目が霞んできた・・・。
「君はなにも悪くないよ。悪いのはあたしだから・・・・。むこうでも・・・・仲良くし
 てね・・・・」
目の前が真っ暗になった。
僕が最後に聞いた倉田さんの言葉は「さようなら・・・・。ゴメンね」という言葉だ
った・・・・。

「君はなにも悪くないよ」
倉田さんが言った言葉を思い出す。
僕はなにも悪くないのか?
いや・・・・倉田さんの忠告を聞かなかった僕が悪いんだ・・・。
すべて僕が悪いんだ・・・・・・・・・。



終わり。


























2.倉田さんの言うとおりしない事にした。


僕は先輩に「七不思議をするからお前がその責任者になってくれ」と頼まれた。
何も知らなかったらすぐに「イイですよ」と、普通に答えていただろう。
でも・・・・僕はすぐに答えなかった。
何故なら倉田さんの事が気になっていたからだ。
あんなことを言われたら、七不思議がなんだか怖くなってきてしまった。
ここは素直に忠告を聞いた方がイイのだろう。
僕は先輩に「今回は遠慮しときます。スミマセンが他の人をあたってください」
と答えた。
「そうか。まっ、嫌ならしょうがないな。他の奴に頼んでみるか・・・」と言って
部室を出て行った。

それから数日して七不思議は行なわれた。
そして・・・・七不思議に参加したメンバー全員が行方不明になった。
もし僕が七不思議の責任者になってたら・・・・・・僕もきっと行方不明になっていた
のだろう。
「倉田さんの忠告のおかげだな・・・」そう思った瞬間。
「よかったぁ。あなたが素直に忠告を聞いてくれて。私はあなたまで殺さなくて
 すんだわ」
どこからか倉田さんの声が聞こえた。
「倉田さん・・・」


「私はあなたまで殺さなくてすんだわ」
倉田さんのそんな言葉を思い出す。
彼女が七不思議に参加したメンバー全員を殺したのだろうか?
そうなのだろうか?
でもなんで?
いろんな疑問が次々にうかんできた。
でも・・・・僕が考えてもわかるはずがない。
考えるだけ無駄なのだろうか?
倉田さんは一体何者なんだろう・・・・・。
僕には何もわからない。
それ以来、倉田さんは僕の前に2度と現れる事はなかった・・・・・・。



終わり。


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