風間旅館にて 〜仮想編
   私の名前は前田葉子。今日は哲夫おじさんと一緒に山登り中・・・
   そして、山道を歩いていると、いきなり電車に跳ねられたの・・・
哲夫「がっはっはっはっは。あれは幽霊電車だよ葉子ちゃん・・・」
葉子「・・・いっ、痛い・・・。胸が・・・」
哲夫「これは大変だ! すぐに病院に連れて行こう・・・」
   医者の診断によると私の病名は『脊椎カリエス』・・・じゃなくて、『泰明さん
   ラブラブ病』だって・・・。
   でも、なぜか湯治に行くように勧められたの・・・。
   そこで私は、片田舎へと出かけ・・・・・・

葉子「ここが、『風間旅館』ね。随分古いわね・・・」
風間「いらっしゃい。湯治だって? 若いのに大変だね・・・」
葉子「はい。(なんかこの人、幽霊電車の運転手に似てるような気が・・・?)」
風間「どうしたんだい?」
葉子「いえ・・・。何も・・・」
   私は気分を入れかえて、露天風呂につかることにした。
葉子「ああ〜、いいお湯。それに紅葉が綺麗・・・。お湯の色もカラフル・・・って! 
   これバスクリンじゃないの!! それに、今は6月よ!!紅葉が赤いわけない
   でしょう!!」
   私は気分を害したので、気分転換に散歩に行くことにした・・・。
風間「あれ、お嬢さん。お風呂は気に入りましたか?」
   私は思った。よくもこの人はぬけぬけとそんなことが言えるなと・・・
葉子「・・・ええ、とっても・・・(気に入りませんでした)」
風間「それはよかった。で、どちらへ・・・?」
葉子「ちょっと、そこの森に散歩へ・・・」
風間「・・・・・・」
葉子「どうしたんですか?」
風間「・・・お嬢さん。あの森には入ってはいけないよ・・・」
葉子「大丈夫よ。平気平気!」
風間「・・・・・・。気をつけてくださいね・・・」

   私はあの人の言うことを制止し、森へ向かった・・・。
   すると、こともあろうか風間さんがそこにいるではないか・・・。
葉子「あれ?風間さん、森に入っちゃいけないんじゃ・・・」
   私は皮肉をこめてそう言ってやった。
風間「わあ〜!狸がしゃべった!?」
葉子「狸!? 私が・・・?」
   私はこの人は何を言っているのだろうかと思った。しかし、周りには猟銃を
   持った男が・・・。
風間「お嬢さんが森に行くと言うんで様子を見に来たら案の定だ。」
葉子「私がそのお嬢さんよ!」
風間「うわっ! 何て悪賢い狸だ!!人の言ったことを受け売りにするなんて・・・」
   どうしょう・・・。ここは人間だと証明しないと・・・。
葉子「風間旅館の昼のメニューは、カレーライス(ボンカレー)にミミズのスープに、
   ゴキブリのソテー。それに、デザートに毒キノコ入りようかん・・・」
風間「ほうほう、それで・・・?」
葉子「お風呂は、バスクリンと、紅葉の作り物にカラースプレーをかけただけの偽
   景色・・・。おまけに、盗撮カメラつき・・・。それに、風間旅館の主人は結婚&
   付き合いたくない男、No.1・・・!」
風間「・・・驚いたな〜。よくもそれだけの嘘を並べられたものだ・・・。さてはお前だ
   な?うちの残飯を漁っていたのは・・・」
葉子「ちっ、違う!!」
風間「撃て〜!!」
葉子「もっ、もうダメ・・・。えっ?」
風間「はははは、お嬢さん。君なら簡単に騙せると思ったよ・・・」
   ・・・私は風間に騙された・・・。憎らしい!!
葉子「・・・戻ります」
風間「あはははは、気をつけてね〜・・・」
   私は、このとき初めて人に殺意を抱いたのだった・・・。

   旅館に戻ると、良夫が来ていた・・・。
良夫「よう、葉子ネェ。差し入れ持ってきてやったぞ!」
葉子「・・・?何、この人形?この顔は、あの風間にそっくり・・・」
良夫「これは幸運を呼ぶ人形だぜ。感謝しろよ!まっ、俺にはこの卵があるから必要
   ないんだ・・・」
葉子「怪しげな模様・・・」
良夫「じゃあな、俺は帰るよ・・・」
葉子「あっ、ちょっと! こんな人形いらない・・・って、もう行っちゃった・・・。
   しょうがない・・・」
   すると、いきなり風間が現れ・・・
風間「電話だよ。お嬢さん・・・」
葉子「はっ、はい・・・(誰だろう?)」

葉子「もしもし・・・」
泰明「あっ!葉子ちゃん? 俺だよ。ごめんね、そっちに行けなくてさ・・・」
葉子「泰明さん!?ううん、いいの。気にしないで。泰明さんは忙しいんだもの・・・」
泰明「今ちょっと大変でね。担当の風間って奴が1ヶ月間音信不通でさ。探し回っ
   ているところなんだ。あっ!呼んでる!じゃあ、また電話するよ・・・」
葉子「泰明さん!・・・切れちゃった」
   私は耳を疑った。風間って人はいったい・・・・・・

   すると、向こうの部屋から何やらうめき声が聞こえてくる・・・。私はのぞき
   見ることにした。
葉子「!? 風間さん・・・?」
   私は見てはいけないものを見てしまった気がした・・・。
   そう。風間さんは、脱皮していたのだった・・・。その時、私の肩を何者かが
   叩いた・・・。
風間「お嬢さん、あれは、風間一族の成人の儀式ですよ・・・。」
葉子「かっ、風間さんが2人!?」
風間「さあ、そんなこと気にせずお部屋でお休みください。」
葉子「でっ、でも・・・」
風間「さあさあ・・・」
葉子「あっ、ちょっ、ちょっと!」
   私は風間さんに無理矢理部屋に連れ戻された。
   このとき私は、風間の謎を解き明かすことを決意したのだった・・・。

葉子「しかし、一晩考えたけどさっぱりわからないわ・・・・・・」
   私は風間の謎を解こうと考えたが、満足のいく答えが見つからなかった・・・。
   そんな時、風間が現れ・・・
風間「お嬢さん。電話だよ!」
葉子「誰かしら・・・もしかして泰明さん?キャッ・・・」

   電話の相手は和子おばさんだった。
和子「もしもし、葉子ちゃん?」
葉子「和子おばさん?」

   ・・・会話が続く・・・

和子「じゃあ、そういう訳で風間さんの生霊を送ってあげるからね・・・。
   はんにゃらまっか〜・・・・・・・・・」
葉子「やめてください! もう風間さんはたくさんです!」
和子「あら、ダメよ。もうあなたの元に送ったもの・・・」
葉子「そんなぁ〜・・・」
和子「どう?風間さんは葉子ちゃんの元に行ったかしら?」
   確かに、風間さんの生霊は来ていた。私の元に・・・
葉子「来ました・・・。」
和子「成功ね。さあ、質問して良い?」
葉子「いやぁ〜〜〜!!!」
和子「葉子ちゃん?どうしたの?葉子ちゃ〜ん・・・」
   私は、思いっきり叫び、そして電話を3階の窓から放り投げた・・・。
葉子「この電話さえなくなれば、この電話さえなくなれば・・・あははははは・・・・」
   私はこのとき、一種のノイローゼのようなものにかかっていた・・・。
生霊風間「葉子ちゃん、君って怖い人だね・・・。僕、帰るよ・・・」
   そう言って、風間の生霊は去っていった・・・

   その後、本物の風間が現れて・・・
風間「お嬢さん、なんてことをしてくれたんです!あなたのせいで電話が壊れた
   じゃないですか!!」
葉子「すいません・・・。気が動転してて・・・」
風間「まあいい。お嬢さんの気持ちは解りました・・・(ニヤリ)」
   風間さんが不適な笑みを浮かべてそう言った・・・。
   これはいったい何を意味するのか・・・?
葉子「気持ちって・・・?」
風間「実はスンバラリア星では、電話を窓から投げ捨てるのが愛の告白のひとつな
   んですよ・・・」
葉子「!?愛の告白・・・」
風間「いやぁ〜嬉しいな〜・・・」
葉子「スンバラリア星?」
風間「私の故郷ですよ。さあ、星に帰ったらすぐに婚礼の儀式を・・・」
葉子「婚礼?スンバラリア?風間?・・・いやぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
風間「そんなに嬉しがらなくても・・・。いやぁ〜照れちゃうな〜・・・」
葉子「違います!!」
風間「いやぁ〜、照れてる君って可愛いねぇ〜。ほら、婚約指輪だよ。『スンバラ
   イト』って言うんだ」
葉子「・・・何?この馬鹿でかい宝石は・・・」
風間「無事婚約は終了だ。葉子さん、今日は寝かさないよ。フフフ・・・」
葉子「いやぁ〜〜〜!!泰明さ〜〜ん!!」

   その後、2人はスンバラリア星にて結婚したそうだ。めでたし。めでたし?


   『そしてすべてが終わった・・・』



  現実編に続く・・・



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