77:意外と好きなあの人へ
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「テツオ、大人になったら一緒に冒険しよう」
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「ああ。ショーン、今度こそ財宝見つけような」
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哲夫おじさんは何でも熱く語る癖があるから、【冒険家・哲夫のルーツ】も
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例外に洩れず・・・と言うか、普段より数倍の熱さを持って話してくれた。
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その哲夫おじさんは今、ちょっとした有名人になっていたりする。
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優秀な( ←ここ大事ね )TVプロデューサーの泰明さんが、冒険紀行ドキュメ
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ンタリー番組に、ショーンさんと哲夫おじさんを起用した。
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ちょっと意外だけど、息がピッタリのこのコンビが人気を集め、体験記が出て
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これが本当に意外なことに売れ行きが結構イイ感じなんだって。
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・・・書いたのはショーンさん。哲夫おじさんに、お世辞にも文を書く才能があ
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るなんて言えないから的確よね。あはは。
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「日本を代表する冒険家・山崎哲夫だって。大げさすぎじゃん?」
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由香里姉さんは、著者近影だけ読んで良夫に渡す。良夫も興味無い感じで値段
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を見て、「葉子ネエ、よく買ったな。俺、図書室で見掛けたら読む」なんて言
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いながら私に返してきた。アンタが図書室になんて行かないでしょうに。
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和子おばさんは興味を示してくれたようで、ショーンさんの事を盛んに哲夫お
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じさんに質問中。・・・和子おばさん、外人男性に弱いの?(笑)
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「人の繋がりって不思議だよな。ショーンの冒険費用とか身辺の世話をしてる
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のは、あの時に学園にいたシスター・エマなんだ。将来、結婚しそうな雰囲
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気だぞ。まぁ、そうでなくても自分らは今が一番楽しい。毎日が充実してる
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んだ。ショーンとの出会いが、自分にとってのラーニング・ポイントだ。
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がっはっは!」
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それを言うならターニング・ポイントでしょ。
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ツッコミを我慢して哲夫おじさんを見た。目が輝いている。
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私は女子高に行くのが嫌なんだけど、自分の人生の分岐点になる出会いがある
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かもしれない。そう考えたら、ちょっとだけ気が楽になった。
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哲夫おじさん、ありがと。いつも前向きで大好きです。
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・・・泰明さんと比べたらだいぶ下だけどね(笑)。
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