(25)Depend on you:A (For My Dear...続き)


−そのころ、お城では−
継母(正美)「いい?ここで玉の輿に乗るチャンスなんですからね」
意地悪な姉A(由香里)「まかせといて」
意地悪な姉B(良夫)「・・・なんで王子役じゃないんだ・・・俺」
由香里「顔が貧相だからじゃない?」
正美「背がちっちゃいからでしょう」
良夫「・・・・・・少しはフォローしてくれよ(泣)」
由香里「はいはい。もうすぐ王子が出てくるから、泣くの止めな」
−王子登場・騒がしくなる舞踏会場内−
王子(泰明)「皆さん。今宵は当家主催のパーティーへようこそ!」
正美「はぁ〜。タイタ○ックの時のディカ○リオみたい。素敵だわ」
由香里「そっかなぁ・・・。どーみても並じゃん、並」
良夫「だから王子役は俺にしろって言ったのによ。ぶつぶつ・・・」

−一方、疾走する哲夫人力車と葉子は−
葉子「いたた・・・。さっきのでヒジ打っちゃうし、ヒザ擦りむいちゃうし」
哲夫「どうだい自分の運転は!?速いし、安全で快適だろう!」
葉子「出始めにコケたじゃないですか。揺れだってひどいですよ」
哲夫「そうか〜!誉めてもらって嬉しいよ。がっはっは!」
葉子「聞いてないや・・・。なんか疲れちゃいました・・・」
−走りながら後ろを振り向く哲夫−
哲夫「ところで、ひとつ言い忘れたんだけど」
葉子「何ですか?」
哲夫「目的地、ドコっすか?まだ教えてもらってないんす」
葉子「バカーー!!」
−進行方向は、お城と正反対であった・・・−


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(26)Depend on you:B(Aの続き) −何とか間に合ったシンデレラは王子様と出会えました− 泰明「今日、ボクは生まれて初めて神に感謝したよ」 葉子「はい♪」 泰明「この窓から見える月よりも、美しいキミに会えたから」 由香里「・・・うっわー、何なの。あの不気味なセリフは・・・」 良夫「ジンマシン出てきたぜ・・・」 由香里「アンタも!?あんな王子なら、あの小娘にくれてやるわ」 良夫「・・・自分だって小娘じゃないのか」←小声 由香里「誰が小娘だってぇ〜。良夫く〜ん?」←にこやかな笑顔 良夫「ははっ。目、目が笑ってないぜ。由香里ネエ・・・」 −ボーン・ボーン(12時になりました) 葉子「あ!もうこんな時間。ごめんなさい、帰らなきゃ!」 泰明「え!?ドコに行くんだ、葉子ちゃん!」 −わき目もふらず階段を降りる葉子− 葉子「えっと・・・ガラスの靴はこの辺でいいかな」 哲夫「早く早く、葉子ちゃん。追っ手が来てるぞ!」 葉子「ダッシュで帰りましょ。おじさんお願いします!」 哲夫「よっしゃ。まかしとけ!」ドダダダダダダ・・・・・←走り出す 葉子「まだ乗ってないのにぃ〜。待ってよぉ」 −途中まで気付かれなかった葉子でした− −翌日− 執事(和弘)「と言う訳で、靴に合う婦人を探してるが、もうここだけなのだ」 正美「でも確かめる方法は・・・?」 和弘「簡単だ。靴を履いて、合った者が妃になれる。では右から順番に」 −スポ− 良夫「・・・あっ、ピッタリ合うぜ・・・」 泰明「・・・・・・・」 葉子「・・・・・・・・・」 和弘「決まりですな」 −こうして王子様は、世界で一番不幸な人になったとか− ・・・END ▲目次に戻る
(27)M(グラウンド・ゼロに奉げる詩) ????「去年の今は、情報集めで東奔西走してましたね」 泰明「仕方ないよな。あんなこと初めてだったからなぁ」 泰明さんは1年前の取材テープを見ながら呟いた。 モニターには、何度もニュースで流れた場面が映っている。 泰明「・・・まぁ、俺も11月ごろに現地へ飛んだんだけどね。報道関係者っての    はつらいよな。現実を目で見なきゃいけない」 もともと視聴率より、質の高い報道番組を目指している泰明さんは、この局内で も人一倍の使命感がある。 休む間もなく取材して作り上げた報道番組は、上半期の国内ドキュメンタリー番 組の大賞と絶賛を得た。 ????「でも、北崎洋子の件は流れちゃいましたけど?」 少し意地悪く訊いてみた。 あの事件がなければ、数日後には放送されていたハズだ。 泰明「出川には悪いことしたけどな。平和な日本にいる俺達には、知らなきゃい    けない世界事情の方が大事だろう」 机に置いてある写真ファイルを泰明さんは見始める。 僕が撮影した、傷ついた人・懸命に作業するボランティアの人等が写っている。 泰明「なかなか才能あるな、キミ。局の知り合いに報道専属で使えるか話しとく    よ」 ????「ホントですか!?」 泰明「忘れてなかったらな。ははっ。・・・名前は、え〜と・・・」 坂上「坂上修一です。これで5度目ですよー」 泰明「ああ、憶えとくよ。じゃ、俺はちょっと屋上で外の空気でも吸ってくる」 ・・・・・・・出て行ったきり、20分経っても戻ってこない。 夜中の1時とは言え、まだ9月だから、暑いんじゃ? ・・・・・・まさか倒れたりはしてないだろうけど。 心配になって屋上を覗きに行くと、泰明さんは自分の手を見て何か言っている。 泰明「この石のスクープを見つける力に願うなら・・・人が傷つき悲しむ映像を・・・    ・・俺はもう見たくない・・・・」 僕にはそう聞こえた。 ▲目次に戻る
(28)園部さんとスポーツの秋 −小学校の運動会にて− アナウンス『父兄参加の二人三脚、ラストは6年生です』 良夫「母ちゃん・・・なんで、出ようなんて言うんだよ?」 和子「まだまだ体力では負けてないって見せなきゃね」 良夫「50過ぎて参加してるの、母ちゃんぐらいだぜ」 和子「何?不満なのあんた!?」 良夫「走れんのか心配だぜ。まったく・・・」 園部「あら?良夫君も参加するわけ?」 良夫「園部か・・・。同じ組で参加するの、オレとお前だけだな」 園部「ふ〜ん。じゃ、私と勝負しよっか」 良夫「何のだよ」 園部「私が勝ったら、良夫君を彼氏にしてあげる」 良夫「・・・どうでもいいが、【してあげる】なんて言い方はすんなよ」 園部「で、私が負けたら、彼女になってあげる」 良夫「変わってねぇ!それに【なってあげる】っつー言い方もすんな!」 園部「あっちは盛り上がってるけど?」 和子「いつもバカ息子がお世話になっておりまして」 園部父「いえいえ、将来は娘をもらって頂けると言う事ですし♪」 和子「そうですねぇ。しっかりしたお嬢さんだと聞いてますので−−」 良夫「何の話だー!オレら、まだ小学生だぞ!!」 和子「すぐにハタチになるわよ。いまから準備しとかないと」 スターターのおっちゃん「あの・・・早く縛って位置についてもらえません?」 −保護者応援席にて− 泰明「何してるんだろうね、おばさん達」 葉子「良夫のバカがドジ踏んでるんですよ。ほっときましょう」 哲夫「さ、この間にコンビニで、ジュースでも買ってくるかなっと」 葉子「アタシ、コーラお願いします」 泰明「俺、ウーロンな」 正美「紅茶頼みますわね」 由香里「ポカリ1つ。それとポテチと、今日発売の【月刊:つきこもり】も」 哲夫「・・・金は・・・?」 −4つの人差し指が哲夫おじさんを指しました− −二人三脚の終了− 良夫「おらー。1位だぜ」 園部「もう〜。お父さんが遅いから、2位になっちゃった」 良夫「でも園部、やっぱ足速いな」 園部「まぁね。・・・それより負けたから、約束通り彼女になってあげる♪」 良夫「んな約束はしてねぇっつーの!」 園部「あっちは盛り上がってるよ?」 園部父「式はいつ頃がいいでしょうねぇ」 和子「そうですねぇ、前田家のしきたりでは−−」 良夫「やめろー!!」 −後日談:和子おばさんは筋肉痛( 2日後 )に悩まされましたとさ− *【月刊:つきこもり】なんて雑誌はありません ←念のため
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