それはまだ、七不思議の会が開かれる1週間前のこと。
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学 校 で あ っ た 抜 き 打 ち テ ス ト(1)
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放課後の新聞部。今日も部員達が活動中です。
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「おい坂上!おまえまだ原稿を俺に見せてないだろ?」
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この前取った写真の整理をしていると、日野先輩が僕に聞いてきた。
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「あ、すみません。今見せますよ」
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そう言って、僕は鞄から昨日書き上げた原稿を取り出し先輩に渡した。
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「なんだこの酷い原稿は!今すぐ書き直せ、ほら!!」
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僕が必死に書いた原稿を丸めてゴミ箱に入れ、新しい原稿用紙を僕に渡した。
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「でも、今回の取材は結構難しかったんで・・・あれで許してくれませんか?」
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「ったくしょうがないな坂上は。まぁいい。新しい題材をやるよ」
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そういって、日野先輩は机に6枚の写真を叩きつけた。
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「・・・・・・誰ですかこの人たち?」
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その写真には、いかにも女子にモテていそうな人と、すごく美人な人、カメラ
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目線でポーズを決めている人、微妙に俯いている人、カレーライスを物凄い勢
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いで食べている人、そして普通の女子生徒が写っている。
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「お前には一週間後にある「7不思議の会」に『語り部』として参加してもら
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おうと思っているんだけど、お前は見るからに怖い話なんて知っている感じ
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がしない。そこでだ、この写真の6人に怖い話を聞いて来い。そのなかで俺
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が一番怖いと思ったのを選んでやる」
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そう言って、先輩は僕に取材ノートとボールペンを渡した。
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「そんな・・・7不思議の会で怖い話を語るのは、倉田さんがやるんじゃなかった
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んですか!?」
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僕は、そのノートとボールペンを受け取り先輩に訴えた。
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「ああ、それはな。倉田が『坂上君の方が面白い話を知ってそうなので』と、
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お前に役を譲ったんだ」
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「そんな勝手に・・・」
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「つべこべ言ってないで早く取材に行け!倉田はお前を尊敬してんだぞ」
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そう言って僕を無理やり新聞部の部室から押し出した。そしてドアを閉めた。
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(そんなこと言われてもな)
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僕は、日野先輩にもらった6枚の写真を一枚一枚交互に見ていった。
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この6人に知り合いは一人もいない。むしろこんな人たち見たことがないぞ。
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「でも・・・倉田さんが僕に期待をかけてくれているんだ。頑張らないとな!」
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僕、坂上修一は結局単純な男なんです。はぁ。
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(まずはこの人のところに行ってみようか)
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女子によく騒がれていそうな・・・多分、先輩。僕はまずこの人に会いに行くこと
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にした。
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でも、どうやってこの人を見つければいいんだ?
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名前も学年もクラスも日野先輩からは教えてもらっていないけれど・・・。
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僕は廊下を歩きながら頭を抱えた。
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(そうだ!写真があるじゃないか。これを見せればきっと見つかるはず)
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考え付いて辺りを見回すと、3人の女子生徒が廊下を歩きながら楽しそうに喋
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っていた。
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「すみませ〜ん!新聞部の者ですけど、この人知っていますか?」
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そう言って写真を見せると女子生徒は騒ぎ始めた。
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「これ新堂先輩だわ!」
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「新堂先輩?」
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「そう、3年生の」
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僕から写真を奪って女子生徒はその写真を見つめながら言った。
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「そうですか。ご協力ありがとうございます!」
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そう言って、僕は3年の教室に向けて歩き出そうとした。しかし女子生徒に肩
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をつかまれてしまう。
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「ねぇ、この写真もらってもいい?いいでしょ?協力したんだから!!」
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女子生徒が僕の胸倉をつかんで言う。
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「(苦しい!!)・・・・・・い、いいですよ」
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その言葉を聞いて女子生徒は「ありがとう〜v」と一言残し嬉しそうに去って
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いった。
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予想したとおりすごい人気だな。普通の女子生徒があれだけ豹変するなんて。
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僕は少し伸びている襟元を直して階段を上った。
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そして近くの『男子生徒』(もう女子はこりごりだから)に声をかけた。
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「すみませ〜ん・・・。新聞部の者ですけど、新堂先輩って知ってますか?」
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「あ〜、新堂ね。新堂ならその教室にいるけど?」
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そう言って、すぐ近くの教室を指差した。
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「ご協力ありがとうございました」
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僕は一礼してその教えてもらった教室に入った。
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「あ!」
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一番奥の席に写真で見た新堂先輩がいた。思ったとおり女子に囲まれている。
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(近づけそうにないな・・・)あれだけ女子に囲まれてちゃ取材もできない。
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「はぁ」っと大きく溜息をつく。そんな僕の視線に気がついたのか新堂さんが
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僕の方をみている。(い、今がチャンスだ!)
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僕は「新堂さん!」と呼んだ。(というか叫んだ)
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すると、新堂さんは驚いたように僕のほうを見た。そして、立ち上がって僕の
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ほうに向かってくる。
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「なんかようか?新聞部の奴だろ。話は日野から聞いてるぞ」
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僕の前で立ち止まって新堂さんは言った。
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「あ、新聞部1年の坂上です。よろしくお願いします!!」
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ペコッと頭を下げあいさつをした。
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「おう。俺は新堂誠だ。それで坂上。怖い話が聞きたいらしいな」
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新堂さんが悪戯気にニヤリと笑う。
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「はい。今度の七不思議の会で話す怖い話を聞きたいんです・・・」
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「なるほどな。ところで坂上、お前新聞部にそろそろ嫌気がさしてないか?」
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え・・・。いきなり何を言い出すんだこの人は。
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そんなことここで言ったら、何処で日野さんが聞き耳を立てているか分からな
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い。
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いや。それ以前に僕は、けっこう新聞部がスキだ。
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「いえ。嫌気なんてさしてませんよ。したっぱ部員ですけど・・・僕は新聞部がス
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キですし、労働も慣れれば結構やりがいがありますし・・・」
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その言葉を聞いて、新堂さんはまたニヤリと笑った。
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「そうか。気に入ったぜ。その精神があれば進行もこなせるな。合格だ」
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「進行?合格?なんですかそれ・・・?」
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僕の言葉を聞いた新堂さんは「しまった」と言って、そのあとに
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「いや、こっちの話だ。気にすんな。それよりお前あと5人の所にも行かなく
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ちゃいけないんじゃないのか?こんな所で油売っている場合じゃないぞ」
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「あ、そうだった。それじゃ僕、次の人の話を聞きに行くので失礼しますね」
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一礼して僕は教室を出た。
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・・・・・・あれ?何か忘れている気がするけれど・・・。っていうか僕は何しに来たん
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だっけ。
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まぁ、いいや。さ、次の人のところに行こうか。次は・・・この美人の先輩の話を
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聞きにいこう。
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→ つ づ く
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