EPISODE II 〜福沢さんの殺人チョコ〜
「さ〜明日はいよいよバレンタイン。頑張っておいしいチョコを作らなきゃ☆」 台所に立って、気合いを入れる私。 「新堂センパイ食べてくれるかな〜?」 大好きな先輩のためにチョコを作るだなんてサイコーだわ〜〜。 「・・・・えっと。まずは〜」 ・ ・ ・ 「あ〜〜何これ〜?大丈夫かな〜・・・・?」 ・ ・ ・ ガシャン 「きゃ〜〜!」 ・ ・ べチャ 「いや〜〜〜!!」 ふっ・・・福沢玲子・・・只今、チョコ作りに悪戦苦闘中。 「はぁ・・・はぁ・・・。やっぱ私には料理は向いてないのかな〜?無難に義理の  方がよかったのかなぁ・・・・?」 も〜〜なんでこんなに、台所が汚れるのよぅ!! 「でも、やっぱ手作りの方が愛こもってるわよね〜。新堂センパイ」 ・ ・ ・ 「い・・・一体、今何時よ〜。・・・・・・チョコ作るだけで、何時間かかってるの  よ〜〜。徹夜でチョコを作っている私って・・・・」 なんか、ちょっとブルーな感じになってきたかも〜〜。 「・・・・悲しい」 2/14 バレンタイン キーンコーンカーンコーン 「ふ〜。やっと授業が終わったわ〜。早く探さないと、先輩帰っちゃうかも」 タタタタタ・・・ とりあえず、私は新堂センパイの教室に向かってみた。 ガラッ 「新堂センパイいますか〜〜??」 「新堂?あいつなら、今帰ったとこだよ」 ショックゥ〜。入れ違いだったみたい・・・・。 「あ。ありがとうございました〜〜」 タタタタタ・・・ 急いで下駄箱に向かう。 「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」 前方10mに新堂センパイ発見☆ 「新堂センパァ〜〜〜イ」 私は、とびっきりの笑顔で新堂センパイを呼んだ。 「ん?あぁ福沢」 はぁ〜〜。新堂センパイっていつ見てもカッコイイ〜〜〜。 「なんの用だ?」 「これから帰るんですよね?よかったら、一緒に帰りませんか・・・・?」 「ん〜ま〜別にいいけど、お前の家って俺ん家と逆方向じゃなかったっけ?」 ギクギク! そういえば私の家は、センパイの家と全くの逆方向だったわ・・・・。 忘れてた・・・でも・・・・・・。 「え〜違いますよ〜。途中までは一緒です」 恋する乙女に、そんな事は関係ないのよぉ! 「そうか・・・」 ガチャ センパイが下駄箱をあけた瞬間・・・・。 ドドドドド――― センパイの下駄箱から、山のようにチョコが出てきた。 「「・・・・・・・・・・・・」」 い・・・一体、この下駄箱にどうやったらこんなにチョコが入るのだろう・・・。 はぁ〜〜やっぱ、センパイはモテるのね。 このチョコの量で、つくづく実感したわ・・・・。 「・・・・福沢、お前チョコ食べるか?」 ・・・・・・本来なら私があげるのに、逆にもらうだなんて・・・しかも新堂センパイ 宛のチョコを・・・・。 「いえ・・・いりません」 「あ」 「え??」 なになに?なんなの?? 「お〜〜い。細田」 げ!!細田友晴だ・・・。 「あ、福沢さん!それと、新堂センパイじゃないですか」 「俺はオマケかよ・・・」 なんでセンパイは、こんな人に声をかけたのかしら? 「ところで、なんの用ですか?」 「お前にこれやるよ」 ・・・センパイ。いくら細田さんでも、そんなにチョコを食べないでしょう。 「えぇーー!いいんですか?!ありがとうございます」 ・・・・全部もらってるし。 でも、この人なら全部食べそうだわ。 「用はそれだけだ。じゃ行くか、福沢」 「あ、はい」 ・ ・ ・ 全然、会話がないわ。 これじゃダメよ玲子!もっと話さなきゃ・・・・。 でも、何を話せばいいのよ〜〜。 「おい福沢。お前の家こっちだっけ?」 「え・・・あ・・・そうですよ」 突然話しかけられて、ビックリしちゃった☆ 「そっか、俺はこっちだから。じゃーな」 ええ!ウソ〜〜。 ハッ・・・!ここで渡さなきゃ、もう渡すチャンスがないわ。 「あの・・・・センパイ・・・・」 「なんだ?」 はぁ〜〜緊張するわ〜〜。 「これ・・・」 「あ・・・。サンキュー」 ガンバレ〜、頑張って言うのよ玲子。 「あの、センパイ。私と付き合って下さい・・・」 「・・・・・・」 しばらく沈黙が続いた・・・。 なんか空気が重くないかしら・・・・? 「悪い。俺も今、好きな奴いるから」 ガ―――ン。やっぱりいたのね・・・・。 「そうですか・・・・」 悲しい・・・・。 「まっ。友達としてこれからもヨロシクな。じゃぁな」 友達として・・・・か。 「もう撃沈じゃない〜〜。・・・・でも諦めないわよ。これからも新堂センパイの  ことを好きでいるんだからぁ☆」 〜家に着いた新堂〜 「あーー。まさか福沢に貰うとはな」 ちょっと意外だったな。 「少し食べてみるかな」 ガサガサ 「・・・・・・」 福沢から貰ったチョコを見て、俺は絶句した。 「なんか、見るからにヤバイ感じだぞ・・・・」 ホントにチョコかよこれは。 絶対、食べたらヤバイ。 俺の勘がそう言っている。 「どうするかなこれ・・・・・・」 捨てるしかないかな・・・。 俺が、チョコを捨てようとしたそのとき・・・・・・。 「にゃ―」 どこから来たのか、猫がチョコを奪って食べた。 そして・・・・・・。 「に゛ゃ゛――!」 猫が悲鳴を上げて倒れた。 「・・・・・・食べなくてよかった」 この猫は死んだのか?? 福沢よ・・・いつからお前のバレンタインは、人を殺す日になったのだ・・・? 「クシュン。誰か私の噂でもしてるのかな〜?それとも風邪ひいちゃった  かな?ま、いいや」


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