EPISODE III 〜荒井君の彼女〜
今日は、世間でいうところのバレンタインです。 クラスの女子などは、キャーキャー言いながら結構盛り上がってます。 何が楽しいのだか、僕には全くわかりません。 「くだらない・・・」 僕はこういったイベントものが苦手で、何故皆が盛り上がるのか不思議です。 と言いながらも、こうやって校内を歩き回っている僕も物好きですね。 おや。新堂センパイは、たくさんチョコを貰ったみたいです。 風間センパイは、あまり貰っていないみたいですね。 なにやら、新堂センパイにブツブツ文句を言ってるようすです。 細田君は・・・ふふふ。やはり一つも貰っていないようですね。 おや・・・・・・一つだけ貰ってるみたいです。 これはこれは意外。 坂上君は・・・・まぁまぁ貰っているほうでしょうか。 「あの・・・・・・」 誰かに呼ばれて振り向くと、そこにはちょっと小柄な女の子がいた。 「なにか?」 「これ受けとって下さい。それじゃ・・・・」 「・・・・・・」 まさか、僕がチョコを貰うとは・・・・。 「だけど、甘いもの苦手なんですよね・・・・」 さて・・・この貰ったチョコをどうしようか。 「・・・・あの人ならきっと食べるでしょう」 そう思い、僕が細田君を探しに行こうとしたとき・・・ 「あ〜〜荒井君じゃないですか〜」 細田君が声をかけてきた。 山のようにチョコを持っている。 「やぁ細田君。ちょうど君を探そうと思ってたんですよ。それにしてもすごい  量のチョコですね」 「あぁこれ?僕にもファンがたくさんいるんですよ」 ・・・・・・どうせ新堂センパイにでも貰ったのだろう。 「・・・・・・これあげます。いりませんか?」 「え〜〜!?いいの??」 「えぇ。僕は甘いものが苦手なので」 「ありがと〜〜〜〜〜〜〜」 かなり喜んでいるみたいですね。 「じゃ、僕はこれで失礼します」 さぁ。家に帰ろう。 ・ ・ ・ 「ふふふ。何をすねているんですか?」 「(・・・・別にすねてなんかいないわよ)」 彼女の声は、僕にしか聞こえないでしょう。 「僕が、知らない女性にチョコを貰ったから怒っているのですか?」 他人が僕を見たら、ひとりごとを言ってる変な人だと思うでしょう。 「(・・・・怒ってないってば)」 きっと、僕以外の人には彼女は見れないでしょう。 例外を除けば・・・・・・。 「僕があなた以外の女性を愛すわけないじゃないですか。さぁ。機嫌を直して  下さい」 彼女は、僕が唯一愛した人。 「(昭二)」 彼女もきっと、僕のことを愛しているでしょう。 「なんです?」 「(ずっと一緒にいてくれる?)」 ちょっと予想外の質問を彼女はしてきた。 「・・・・ふふふ。僕が『No』と答えると思ってるんですか?僕とあなたは、い  つまでも一緒じゃないですか。そう・・・・いつまでも・・・・永遠に・・・・・・」


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