EPISODE IV 〜岩下さんの“愛”〜
彼は、私に嘘をついたわ。
彼は、私を裏切ったのよ。
「あ・・・。岩下さん」
坂上君・・・・。
私を裏切ったのに・・・気安く話しかけないでちょうだい。
「・・・・・・」
あなたの顔なんか見たくないわ。
私は、彼を無視して歩いていった。
なんで約束を破っておきながら、平気で話しかけて来れるのかしら。
ちゃんと付き合う前に「私以外の女と話をしないで。そして嘘をつかないで。
それを約束してくれるなら付き合ってもいいわ」と言ったのに・・・。
そして彼も、その約束を承知してくれたのに・・・。
「殺してやる」
でも、ただカッターで殺すだけじゃつまらないわね。
「どうやって殺そうかしら?」
あら。今すれ違った女子生徒が、スゴイ顔して私のことを見てたわ。
誰にチョコをあげるかだとか、浮かれて話をしてたのにね・・・。
「ふふふ、明日はバレンタインじゃない・・・」
2/14 バレンタイン当日
「坂上君」
私から彼に話しかけるのは久しぶりだわ。
「え・・・あ・・・・岩下さん」
ふふふ、やっぱり驚いてるみたいね。
「これ・・・あげるわ」
私は、チョコの入っている小さな箱を坂上君に渡した。
「どうも・・・」
「じゃぁね」
そして足早にその場を去った。
彼は、チョコを食べてくれるかしら?
ふふふ・・・食べるに決まってるわ。
彼は、わかってるはず。
あのチョコの中に何が入ってるか。
私は・・・あまり苦しまないで死ねる速効性の“毒”を入れたわ。
でも、その“毒”は私の“愛”よ。
彼が死ねば、彼は一生私だけの存在になる・・・。
「坂上君・・・・・・」
好きだから殺すのよ。
私だけのものにするために。
「ふふふ、坂上君。私はあなたの事を愛してるのよ。いつまでも・・・ずっと・・・。
そう・・・永遠に・・・・・・ね」
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